学生服販売店と談合は紙一重

 昨年の今頃、業界に激震が走りました。

https://toyokeizai.net/articles/-/364602

 簡単に説明すると愛知県の県立高校の制服を扱っている販売店が公正取引委員会から排除措置命令を受けたという事です。その内容は、学校の駐車場などで制服の価格を一緒に値上げをすることを決めたというものです。えっ!?だめなの?と思った業者の人も数多くいたと思います。

 なぜ発覚したかというと、このグループのうちの1社の松坂屋がほかの談合で摘発されて、社内調査を行ったところ、この学生服の状況も価格カルテルに該当することがわかり、松坂屋自らが公正取引委員会に申告いたしました。申告した本人(会社)は免除されることも松坂屋を後押しする要因でした。

 もちろん独占禁止法という法律があり、また、平成29年11月に当の公正取引委員会が「公立中学校における制服の取引実態に関する調査」というものを出して、制服販売店に注意を喚起している中で起こった事ですので本件自体はよろしくない事だという事が大前提です。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/nov/171129.html

 さてここでお伝えしたいのが、私も外の業界から学生服業界に来て早10年を超え、愛知県の同業者の皆さんがそのような行為に至った経緯や背景が十分理解できてしまうという事です。他の業界と違い学生服業界の特徴として

①原材料は圧倒的なシェアを1社(日本毛織)が握っている(業界用語として”紡績”といいます。)

②制服製造メーカーが大手3社に寡占化しつつある(業界用語”アパレル”)

③各学校制服は地域の小売業者数社による独占販売状態にある(業界用語”販売店”)

 また、①と②の間に紡績系列の販売商社、②と③の間にアパレルの販売子会社や支店が介在する場合があります。

 以上のような流通経路を他業界と比較し鑑みると、

①携わる人(会社)が多岐にわたる結果、高コスト体質の業界であること

②流通の各段階が独占もしくは寡占となっている

 の二つに集約されます。誤解されたくないのが、現在の状況を悪意をもって否定しているのではなく、以前のブログにも触れましたが戦後の業界の発展の推移を顧みると、この形態に落ち着いたのはなるべくして成ったと思いますし、過去の先人たちが悪意を持っていたとも考えておらず、努力を否定する気持ちは少しも持っておりません。

 事実、戦後まもなくからベビーブームに至る中で、全国の子供たちに分け隔てなく、まんべんなく良質な制服を入学式までに一括して届けるには、この形しかなかったのかもしれません。”売り切れ御免”や、”サイズの大きい人お断り”などが許されない為には寧ろ販売店を責任から逃がさないために独占もしくは寡占になった背景が大きいです。儲かる部分だけ販売して、売り切れたらあとは知らんよは許されないのです。たった一枚でも、駆けずり回って、最悪でも入学式の前日までにはその人のお宅にまで届けるという気概がない業者は参入してはいけないのです。洋服の青山、ユニクロ、その他制服業界に参入しようとしている他業界の担当者、その気概がありますか!背負っているのは売り上げや予算ではなく入学式の子供たちの笑顔なんです!

 一方で、時代が変わり少子化や消費者の意識が変わる中で相変わらずコスト積み上げ方式の考え方で、原材料ガー、人件費ガー 、輸送費ガー、と伝えても先生や保護者には響きにくくなってきています。次に変わらなければならないのは我々の意識なのかもしれません。

 2022年度新入学に向けて、紡績各社の値上げに伴う制服価格の値上げが行われます。値上げするにしても法令違反無く、謙虚な気持ちで進めていかなければなりません。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA