商品が店頭に納品されるまでの流れ~上衣編~

 商品というのは何もないところから突然生まれてくるわけではありません。もちろんご存じかとは思いますが、具体的にどのような流れで商品(製品)が出来上がるのかイメージできる人は少ないかと思います。今回は上衣をもとに出来上がるまでの工程をご紹介したいと思います。

 まず商品は

①企画(デザイン)→②設計(サンプル)→③製造(本生産)

 →④物流(倉庫で在庫し適宜店頭・お客様へ納品)

の順で動きます。前工程と呼ばれる①企画、②設計は後日別の機会に紹介します。今回は③製造のお話です。

③製造

製造するには大まかに

1.材料確保 2.裁断 3.芯貼り 4.縫製 5.ボタンホール・まとめ 6.検品 7.仕上げアイロン 8.包装

の8工程あります。

1.材料確保

 まず生産する品番・サイズ(SKU)毎に生産する数量分の生地・付属を確保いたします。どのように確保するかですが、生産する1枚当たりにサイズ毎に必要数(用尺)というのが決まっておりそれをかけた数量が材料の必要量となります。

縫製仕様書
材料計算表

2.裁断

 次に生地の原反を裁断台の上に広げ、1枚ずつ重ねて行き、生産数分の枚数を重ね終わったらパターンを乗せて生地を裁断します。いかに生地の使用量を少なくパターンを並べるかが腕の見せ所です。裁断するのは主に・表の生地・裏地・芯地の3種類です。表の生地と裏地はなんとなくわかると思いますが、芯地とは、表生地だけだと柔らかくてへたってしまうのを防ぐため、ノリのついた薄い生地を表地にベタっと張り付けて表生地を強くする効果があります。上着の前の部分などは強くしたい一方で、背中側は軽やかにしたいので背中側の部分には貼りません。

 また、大きい工場では自動裁断機(CAM)というものがあり、生地をセットすると自動で最適な形で裁断してくれます。学生服の場合だと生産数が多くても1サイズ当たり30枚程度、平均は1~10枚程度ですので手作業で裁断する場合も多いです。

裁断台とパターンを置いた状態の裁断前の生地

3.芯貼り

 上で説明した芯を貼る工程を専用の芯貼り機という機械でしっかりはがれないように貼ります。芯貼り機がない場合はアイロンで張ることもありますが圧力が足りずはがれてしまう場合があります。

プレス型接着機

4.縫製

 裁断して芯貼りをした表地と裏地と縫製に必要な資材(パット・品質表示など)をひとまとめにして縫製する人に渡します。縫製するには、数が多い場合は分業で(袖を作ったり襟を作ったり部分縫いをして、最終的に合体させます)行いますが、1枚ずつの場合は熟練の職人が丸ごと縫い上げます。

本縫いミシン

5.ボタンホール

 昔は手作業で行っていましたが自動化されたボタンホールの機械で一気に行います。

ボタンホール専用機

6.検品

 最初の1枚目のみ縫製仕様書と仕様(デザインや縫い方)があっているか確認しその後全量を縫い目が飛んでいないか規格寸法と誤差がないかの確認を行います。

7.仕上げアイロン

 仕上げ専用のアイロンで仕上げを行います。その後少しおいてアイロンの蒸気が抜けるのを待ちます。

平型プレス機
袖専用プレス機

8.包装

 制服の上衣は箱に入れる場合が多いのですがT&Yでは管理上専用の袋に入れ圧着梱包しています。適量の空気が入っているので重ねてもつぶれてタタミシワができないように工夫しています。圧着梱包後、検針機を通して完成です。

圧着機

以上で商品が出来上がります。

 注文してもなかなか商品が入荷しないのは在庫がない場合に一から生産しているからです。お客様にお待たせするのは忍びないですがこのようにたくさんの手間と時間をかけて作っているのでご理解ください。このような工程を経て完成するので生産する場合の納期は1か月強かかります。

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