店頭在庫の適切な維持

 お洋服の販売店は店頭在庫の維持に努めなければなりません。特にファッション品を扱うお店は、お客様が魅力的に思う店づくりとして、店頭の華やかさとともに買いたい商品がそこになければなりません。昔から言われるのがAIDMAという法則で、お客様が買い物をする時の心理変化を表し、

Attention(注意) ⇒ Interest(関心) ⇒ Desire(欲求) ⇒ Memory(記憶) ⇒ Action(行動)

 という順序で購入に移ることから、それに従うようにディスプレイしてお客様を誘導していきます。また、最近のデジタルツールの発達に伴い、店頭で他社商品も同時に比較できるなどお客様の購買体験も変化してきていることからさらに発展し、AISAS、AISCEAS、AIDCASなどいろいろな法則ができています。いずれにしても言葉の定義や遊びに終始せず、本質的なことは、「買いたい!と思う商品」が「そこにある」という状態を作ることが重要です。つまり衝動買いをいかにサポートできるかです。

 翻って我々学生服販売店に求められることは、目的買いです。お客様はこれを買うと決めてから来店されます。その時に重要なのは常にお客様が必要とされるものが必ず店にあるということです。しかし在庫の種類は取り扱い校(200校)×1校当たりのアイテム数(約5点)で1000アイテム程度となり感覚でそろえることは現実的に不可能です。ここで非常に有効なのが定量在庫という概念です。

 昔、1990年ごろにたまごっちというおもちゃが流行りました。

 このおもちゃを知っている人はそういう年齢ということです。このおもちゃはこの中にペットを飼っていて、毎日餌をやったり遊んでやったりすると成長していくゲームです。今思えば何が面白いのかわかりません。このゲーム機を作ったのはバンダイという会社で全世界で4000万個も販売したのでさぞかし儲かったと思うでしょうが実は最終的に赤字でその責任で社長が2人も辞任してしまったのです。なぜ4000万個も販売し社会現象にまでなったおもちゃが赤字だったのでしょうか?

 販売店:やばい!たまごっちめちゃくちゃ売れてる!もっと仕入れてたくさん売らなきゃ!(震えながらポチ!100個発注!)

 おもちゃの問屋:やばい!販売店からめっちゃ注文が来ているもっと在庫積んでおかなきゃ販売店から怒られる!(震えながらポチ1000個発注!)

 おもちゃのメーカーの関東営業所:やばい!問屋からめっちゃ注文来ている!もっと工場で生産してもらわなきゃ!(震えながらポチ10,000個発注!)

 おもちゃの工場:やばい!全国の営業所からめっちゃ生産指図が来ている先を見越してもっと生産しなきゃ(うりゃ!100,000個生産!)

しばらくして・・・

小売店:あれ、発注したのになかなか入荷しないぞ!どんどん店頭の在庫は売れていってもうすぐなくなる!やばい!もっと注文しとかなきゃ!(ポチ!300個発注!)

以下ループ

そうして生産は2,500,000個に膨れ上がりました。。

一般消費者A:あれ、なんかたまごっちって実はつまんなくね?

一般消費者B:やっぱり?なんか一生懸命育ててもなんも意味ないよね?

急速に売れなくなり最終的に生産中の2,500,000万個は引き取られなくなり、小売店、問屋、営業所にも在庫はたっぷり残って売れず、処分代は今まで販売した利益よりも多くかかってしまい結局何をやったかわからなくなって終わりました。。

これを経済用語でブルウィップ効果といいます。ブルウィップとはムチのことです。

ベラの鞭は痛いよ」同居5歳男児の腹や腰をベルトで殴って殺したペルー人女逮捕 鈴鹿 : くるちゃんねる
出典:妖怪人間ベム

 ムチは手元で少しふると先に行くにつれてその振れ幅が大きくなります。

これを小売店→問屋→メーカーの営業所→工場

 の順に上っていきどんどん数が大きくなってそのまま供給されるのであれば問題ないのですが突然売れ行きが止まると大変な在庫が残る現象をさします。

 学生服販売店の場合で言えば半袖が今年めっちゃ売れるということになりどんどん発注して、メーカーも品切れになり入ってこないからさらに発注するとメーカーが生産したころには夏休みに入り誰も買わなくなった時にどさっと入ってきてあたふたする現象を毎年繰り返しています。運動会前の体操着の売れ行きや、修学旅行前のワイシャツの新調などもそうです。そのようなことを避けるために定量在庫をしっかり決めておき、年間の学校行事を把握して定量在庫を確保しつつ、行事に即した実売数を予想して事前に手配しておくことが大切です。定量在庫は皆さんちゃんと出してくださいね!

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