お客様を店頭にお迎えするにあたって

 日々お疲れ様です。さて本日は改めてお客様をお店にお迎えするにあたり、どういう心構えでいるべきかをお伝えしたいと思います。

 「三方よし」という言葉があります。これは中世から近代にかけ活躍した、日本三大商人の一つ、近江商人の心得をいったものです。三方とは「売り手によし」「買い手によし」「世間によし」の三つの「よし」です。我々の業界に置き換えると売り手(お店、メーカー)、買い手(生徒・保護者)だけでなく、世間(学校と学校が属する地域社会)にとってよいようになるようにすることがその商売が繁栄する基本的な考え方です。

 我々学生服販売店は新入学のお客様に学生服を販売し、その学生服を3年間の在学中にお直しに来られ、卒業しても中学であれば高校、高校であっても兄弟へとバトンタッチされていきます。最も感動するのは親御さんや祖父母が一緒に来店され、私もここでお世話になりましたと言われることです。私も親御さん方の応対をしたわけではありませんが、恐らく私の母が応対した方が親となりその子を連れてきたことは数知れずあったことと思います。この場所を通じて世代を超えたつながりが感じられるとてもやりがいのある仕事です。その意味でも、今目の前のお客様とその背景にある親兄弟親族、そしてその人が属している地域社会すべてをお客様と思って心を寄せてください。

 心を寄せるという表現でもう一つお話したいのが「お客様は神様です」という表現です。よく勘違いされるのが、「お客様は神様なんだから何でも言うことを聞け」という態度で受け手である我々も相手であるお客様も接することがあります。これでは店側は卑屈になってしまいます。この言葉は演歌歌手の三波春夫さんが発せられた言葉です。この本来の意味は 

『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。ですからお客様は絶対者、神様なのです』

             引用元三波春夫オフィシャルサイト

 とあります。つまり、神社やお寺などに行って神様仏様の前で手を合わすときのような雑念を払った清らかな気持ちで、あたかも神様に接するように応対するという意味なのです。そのような気持ちでお客様個人というより、自分が店になり、相手がお客様の集合体として、そのお客様という集合体に心を寄り添わせるように接してください。決してお客様一人一人に対して卑屈になる必要はありません。あくまでもお客様の立場に立ってお客様にとって良いことは何かという視点でいてください。

 一方で、学生服の販売は短い期間でかなりの量を納品しなければならない為、ミスが起こりやすく、また、一部のお客様からすれば、買いたくて買うものではなく買わされているものですので、些細なミスでも大きなクレームにつながる可能性があります。そのようなときは以下に挙げるように対応してください。

①お詫び まずクレームになってしまった件に関してお詫びする。
 気を付けたいのは全面謝罪ではなく限定付きでお詫びする。相手の気持ちに限定してお詫びする。


②傾聴  よく聞くことによって気持ちの高ぶりをおさえる。
 不満に思っていることをすべて吐き出すと落ち着きます。相手に共感して気持ちを汲み取る(吐しゃ法:相手の言い分を言いたいだけ言わせる。相手の話を遮らず、相槌や復唱・要約+お詫び言葉。何度も謝るより1回の共感の言葉を添える)


③確認  不具合等の確認
 真の要望(5項目)を知る。傾聴を通じて、①いつ、②どこで、③何があったか(事実)、④何に対して怒っているか、⑤相手はどうしてほしいのか


④代案  内容がしっかり確認できたのであれば代案を出す
  「不」を「快」に切り替える。相手の話を遮らないように代案を提示する。また代案の提示前後に了承を得る
提示前:今お話をさせて頂いて宜しいでしょうか?        提示後:このような解決策でいかがでしょうか?


⑤締め  満足に目を向けさせる
 感謝を伝え、クレームをアドバイスに切り替える。今回は〇〇を教えて頂きありがとうございました。〇〇について私は気づくことができていませんでした。お教えいただきましたことで他のお客様にもご迷惑をおかけしないで済みます。有難うございました。

またクレーム対応後には必ずクレーム・トラブルのホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしてください。


報告:クレームの目となるようなものは最初のうちは早々わかるものではありません。自分で判断せず、最初のうちはなんでも店長や上司に相談するようにしましょう。感覚としては、少しでもひやっとしたりはっとしたこと(これをヒヤリハットといいます)、は必ずどうしてそうなったのか経緯と共に報告しましょう。


連絡:5W2Hで要領よく簡潔にまとめましょう。
   いつ(When)どこで(Where)誰が(Who)何を(What)なぜ(Why)どのように(How)いくら(Howmuch)
例)今日、店頭で、お客様が、ワイシャツを、不良だったといって、返品された。2310円だった。


相談:何を相談したいのか、上記のように明確にしてから自分なりの答え、対策案を用意してから相談しましょう。

 上記をT&Y所定のクレーム報告書に記載し、記録に残していくことによって会社としての経験値が上がります。また店長会でシーズン終了後に、起こってしまったクレームの根本的な原因の追究に使いますので、必ず記録に残すことを徹底していきましょう。未来の同僚と自分の為に。

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カテゴリー: 接客

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