備蓄の目的とは

 皆様。昨年の納期遅れ騒動が想定をはるかに超える悪いほうへ動こうとしております。以前 某T社さんが悪い話を持ってこられたとつぶやきましたが、特に備蓄に関して今までの業界の常識を覆す交渉を各販売店にされているようです。

 そもそも学生服とは、年間の計画生産(備蓄)を行いつつ、計画から外れた分を緊急生産して対応してまいりました。以前より伝えている通り、製造能力が潤沢にあった時代はいろいろなところで多めの在庫を確保しつつ、ゆとりをもって備蓄生産や期中の追加生産をこなせていたのですが各社の製造能力が急激に枯渇している中、備蓄の精度を上げなければならないという事は業界全体の目標だと思います。

 では備蓄の精度を上げるにはどうすべきか?今までは販売店各社が思い思いに鉛筆なめながら決めていましたが、特に神奈川県は販売店が各地に乱立し、備蓄するにも受注数が多くない学校を多数抱えて来て、精度が著しく落ちてきています。その点もセールスポイントとなり、各メーカーは学校へ、併売(分納)物件を製造メーカーを1社に指定することにより、制服の統一性はもとより、確実に責任を持って入学式までに間に合わせるとアピってきたと思います。販売店にとっても、本来なら販売店の意思でメーカーを決めたいところですが、受注数が少ない学校の場合は自社で備蓄を抱えることが出来ない事からメーカー指定もやむを得ずと、都合のいい話ですが、自社のシェアが高い学校は併売(分納)、シェアが低い学校はメーカー指定を望んでいるのではないでしょうか。

 さて、そのような近年の傾向の中で、さらに一歩進んできたメーカーが交渉してきている内容が、メーカー指定の学校も備蓄せよという条件変更です。

メーカー指定の学校の備蓄を販売店がするという事。

 皆さん、経験的にお気づきかとは思いますが、論理的に説明するために、その効果を証明してみました。

弊社は1校丸抱えの公立高校はありませんので、代用として一番受注している中学校の過去3年間のデータを抽出し、女子受注数161名(300名程度の高校を想定)の生のデータを使います。

<ケース1 メーカー指定でメーカーが備蓄をする場合>

ほぼ端のサイズまで備蓄でき、且つ備蓄したものはほぼ消化されます。

<ケース2 シェア50%の販売店が2店舗でそれぞれが備蓄を積む場合>

赤字で書きましたが、追加発注を10%迄など条件を課された場合は中心サイズが一部あまり、端のサイズは足りない状況が発生します。しかし、何とか対応はできそうです。

<ケース3 シェア20%の販売店が5店舗でそれぞれが備蓄を積む場合>

この場合は、中心サイズばかり在庫があまり、端のサイズは大幅に足りなくなります。

この状態は、併売(分納)物件の、販売店が多くいる学校で起きてしまっている状態で、これを避けるためにメーカー指定に移行してきたのではないでしょうか?この行きつく先は、

①生産する数量が必要とする数量より多くなる

②追加生産が多くなる

 であり、もし製造キャパシティ不足への対策としては真逆です。つまり、メーカーから見たら

メーカー指定の学校の備蓄を販売店がする

「メーカーの売上を増やす施策

です。売り上げを増やすためにこの条件にしてくれというのなら理解できます。(納得はしませんが。)

 もう一度よく考えられたほうがよろしい。

追記 若干の統計的考察

・B体の2サイズをを175,180におき替えた

・EOは母数から除外した

・このデータは平均値(160)を中心に左右対称の正規分布に従う

 学生服の備蓄は経験的に90%積み、残り10%を追加生産というのが一番理にかなっており、2σで切り捨てをして90%~95%の間で算出すべきという事も証明できた。3σ(せんだみつお)ではやりすぎ。将来的にはAIで自動化したい。また、標準偏差の変動要因として性別、地域、偏差値(高校)を経験的に取得しているがモデル化したい。

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